不正直な比丘を囲む物語の枠
パーリ聖典のブラハッチャ本生は、仏陀の誕生譚のうち第336番に数えられ、ジェータヴァナ精舎において、策略に長けた振る舞いをする一人の比丘について語られた。その比丘の振る舞いは、仏陀に、過去世のより賢い盗人のことを思い起こさせた。仏陀は、そのときに何が起こったのかを示すために、この過去の物語を語られたのである。
王国を失った王子
はるか昔、ヴァーラーナシーの王が隣国コーサラを征服し、その王を捕虜とした。敗れた王の息子であるチャッタ王子は征服を逃れ、タッカシラーへと向かった。そこで名高い師のもとで、バラモン教の聖典である三つのヴェーダと、伝統の十八の技芸と学問を学び、やがて五百人の苦行者からなる森の集落に加わった。
借り受けた信頼の上に築かれた計画
チャッタは苦行者たちを説き伏せてヴァーラーナシーへ同行させ、現地の学者たちが彼らに投げかけるどのような問いにも答えてみせると約束した。その言葉どおり、彼はブラフマダッタ王の御前で一行を見事に弁護したので、王は彼らの学識に感銘を受け、一行全員を王室の御苑に宿泊させるよう招いた。
宿所の下に埋められた宝
王の客人たちの知らぬことだが、その御苑には秘密があった。数年前にヴァーラーナシーの王がコーサラを征服した際に持ち去った、まさにその財宝が、鉄の甕の列に埋められていたのである。それはチャッタの父が王位を失う原因となった戦の戦利品であった。埋められた財宝を地上に現す呪文を知っていたチャッタは、そこに住みながらその呪文を用い、その蓄えを見つけ出した。
夜の闇に行われた盗み
御苑に落ち着くと、チャッタは秘かに大きな革袋を作らせた。夜になると、埋められた甕を掘り起こし、金を袋に移し、すべての甕を草で満たし直してから、何事もなかったかのように地面を元どおりに覆った。
罪の痕跡を残さぬ出立
金を積み終え、苦行者たちも集まると、チャッタは一行全員をヴァーラーナシーの外へと導き、舎衛城へ向かった。そこで回収した財宝を用いて、父の王位を取り戻したのである。ヴァーラーナシーには追跡も、対決も、責任を問う者も残されなかった。
思いがけぬ発見がもたらした王の嘆き
しばらく後、ブラフマダッタ王は何か自らの目的のために御苑の甕を掘り出させたが、そこに金の代わりに草が詰まっているのを見出した。失われたものを嘆くあまり、王は「草だ、草だ」と幾度も叫びながら宮殿をさまよい、その言葉を振り払うことができなかった。
喪失を捉え直した大臣の問い
菩薩は、その前世において仏陀であり、王の大臣として仕えていたが、率直に、なぜ草のことで叫び続けるのか、そして誰がそれを奪ったのかと王に問うた。王は、金の代わりに草を置いたチャッタ一人を責めていると答えた。
嘆きを受容へと変えた応答
菩薩は答えた。チャッタが持ち去ったものは、そもそも王自身のものであった。なぜなら、その金は父の征服された王国からの戦利品だったからである。そして、チャッタが残していったのは草だけであり、どの王の嘆きにも値しないと。これを聞いて、ブラフマダッタは、このようなことが、不当な扱いを受けた者の望むとおりの道理に従うとは限らないことを認めた。そして悲しみを脇に置き、落ち着いた正しい心で国の統治に戻った。
仏陀による正体の開示
物語を語り終えると、仏陀はその登場人物が誰であったかを明かされた。ジェータヴァナの不正直な比丘は、その前世における賢いチャッタであり、仏陀ご自身は、最終的に王の嘆きを和らげた賢明な大臣であったと。
一度の喪失を超えて伝わる教え
この物語がジェータヴァナの比丘たちに示したのは、チャッタの策略が正しいか誤っているかという判定ではなかった。物語は、チャッタが捕らえられることも、罰されることも、その責任を問われることも決してないからである。示されたのは、一つの喪失が二通りに抱えられうるということであった。その名を繰り返し呼ぶことによって再び開かれる傷として抱えることもできれば、より大きな歴史のなかに事実として置き直し、そして手放すこともできる。菩薩は、王の嘆きを解くためにチャッタの罪を裁く必要はなかった。ただ、ブラフマダッタが、金がどこから来たのかというより大きな物語のなかで、その金を見つめ直す手助けをすればよかったのである。そのより大きな語りのなかでは、草だけがもはや嘆くに値するものではなくなったのである。
ご存知でしたか?
第336番の本生は、ジェータヴァナにおいて、策略を巡らす不正直な比丘について語られたものであり、その振る舞いが過去のこの物語を思い起こさせた。
敗れたコーサラ王の息子であるチャッタ王子は、タッカシラーで三つのヴェーダと十八の技芸を学び、埋められた財宝を地上に現す呪文を知っている。
彼は五百人の苦行者のためにヴァーラーナシーの王室御苑での宿を得る。そのうえで夜の闇に父の戦利品を掘り起こし、甕を草で満たし直す。
追跡も、対決も、返還の求めもなく続く。王子は無事に逃れ、舎衛城で父の王位を取り戻す。
ブラフマダッタ王の大臣であった菩薩は、盗みを非難することで慰めるのではなく、金を王子自身の家の財産が返されたものとして捉え直すことで王を慰める。
