ブッダがアーナンダを重んじた理由
この話は、パーリ聖典の『ジャータカ註』において第456番として記されており、比丘たちが、ブッダが侍者として受け入れた際にアーナンダへ与えられた八つの恩恵(前もって叶えられた八つの願い)について論じていたとき、祇園精舎でブッダが語られたものです。ブッダは、アーナンダの願いを叶えたのはこれが初めてではないと説明されました。前の生においても、アーナンダの忠実な記憶に、寛大さをもって報いられていたのです。
学びに遣わされた王子
カーシ国において、ブラフマダッタ王には、菩薩であるジュンハという名の息子がいました。その王子は、名高い都タッカシラーで、ある師のもとで学ぶために遣わされました。タッカシラーは地域全体に名を知られ、王族であれ卑しい生まれであれ、才能ある若者が、いつの日か統治者や顧問となる者に求められる学問と技芸を修めに行く場所でした。ジュンハは、そこで普通の学生として暮らし、ほかのすべての弟子と同じ、質素な宿と規律を分かち合いました。王子に与えられるはずの安楽や敬意は、そこにはありませんでした。
暗闇での衝突
ある夜、ジュンハ王子は暗闇の中で師の家を出たところ、施しを求めて帰るところだったバラモンと衝突しました。王子の腕の勢いがバラモンの鉢に当たり、鉢は地面に落ちて砕けました。
金なき約束
王子はバラモンを助け起こしましたが、その場で償いの品を差し出すことはできませんでした。「バラモンよ、今はあなたに食事の代価を渡すことはできない。しかし私はカーシ国の王の子、ジュンハ王子である。私が自らの国へ戻ったとき、あなたは私のもとへ来て、その金を求めてよい」と王子は言いました。
歳月が流れ、王位を得る
やがてジュンハは長い修学を終え、カーシ国へ戻り、やがて父の後を継いで王となりました。同じ王国の都であるヴァーラーナシーから統治しました。学生であった時と同じく、突然の権力を得た者にしばしば現れる虚栄ではなく、飾り気のない誠実さをもって統治しました。王国の民は、彼が一度与えた言葉は、決して撤回されないと信じるようになりました。
バラモンは覚えていた
それから何年も経ち、同じバラモンは、今や老い、なお貧しいままでしたが、王の行列が通りを過ぎるのを見て、ジュンハ王を認めました。一文無しの学生が戴冠した王になるまでの長い年月のあいだ、タッカシラーのあの夜の記憶を、ずっと心に抱いてきたのです。権力と距離が二人のあいだに入ったとき、その約束がまだ意味を持つのかどうかは、確かではありませんでした。一歩前へ進み出ると、タッカシラーでの出会いと、砕けた鉢のそばで交わされたあの夜の約束を、王に思い出させる詩偈を唱えました。
忘れなかった王
ジュンハ王は、ためらうことも言い訳をすることもありませんでした。一人の学生が交わした約束の記憶を、バラモンがそれほど長く抱き続けてきたことに心を動かされ、その場で、何倍にもして報いることを決意しました。
砕けた鉢を超えた報い
王はバラモンに、選りすぐりの五つの村、百人の従者、七百頭の牛、千を超える金の装飾品、そして同等の家柄の妻二人を与えました。こうして、このバラモンの家は、彼の残りの生涯にわたって安楽と名誉を得るまでに引き上げられました。
ブッダによる前世の明示
ブッダは、二人の人物が誰であったのかを明かして、この物語を締めくくられました。ご自身の忠実な侍者であるアーナンダは、歳月を越えて約束を覚えていたバラモンであり、ご自身はジュンハ王であり、その記憶に永続する寛大さをもって報いた者であった、と。
砕けた鉢を超えて生きた約束
ジュンハ・ジャータカは、真実の徳目であるサッチャ波羅蜜についての教えとして生き続けています。それは、貧しさのなかで交わされた約束が、権力のなかでも、いかなる外からの助言も必要とせずに守られることを示しているからです。ブッダは、その古い生においてアーナンダに示された王の寛大さは、この古い恩義の長い反響にほかならないと説明されました。菩薩が一度与えた誓いは、身分によって乗り越えられるものでも、歳月とともに忘れ去られるものでもなかったのです。暗闇の中の偶然として始まったものは、双方の忍耐強い誠実さを通して、生涯を貫いて損なわれることのない絆となったのです。
ご存知でしたか?
ジュンハ本生譚は、貧しい学生時代に交わした約束を、王位に就いた後も守り抜く真実波羅蜜の鑑です。
割れた土の鉢というささやかな物質的損失と、君主の誠実さという崇高な精神的価値が対比されています。
古代インドの帝王の倫理において、国王の約束は数十年を経てもなお守られるべき掟とされていました。
タッカシラーの学問所では、王子であっても特権を持たず、庶民と同じく質素に暮らしたことが描かれています。
釈尊は、鉢を割られた老人がアーナンダ尊者であり、約束を守ったジュンハ王は釈尊ご自身であったと明かされました。
