恋に悩む比丘をめぐる枠物語
パーリ聖典の本生経第360話は、恋に心を奪われ平静を失った一人の比丘について、釈尊が説かれたものである。そうした執着がいかに強大な者をさえ惑わせるかを示すために、釈尊は、一人の王と奪われた王妃、そして彼女を探すために遣わされた楽師の古い物語を語られた。
王、王妃、そして変装した来訪者
ベナレスにおいて、タンバ王は、国中にその美しさで名高い第一王妃スッソンディとともに栄華のうちに統治していた。遠く離れたセルマの島に住む大ガルダ王(仏教とヒンドゥー教の神話に登場する神鳥のような存在)は、眩いばかりの若い貴族の姿をとり、タンバ王と双六を楽しむためにベナレスを訪れるようになった。スッソンディが王宮の御簾越しに彼を垣間見た瞬間、二人はたちまち互いへの激しい恋慕に捕らえられた。
嵐の陰に隠された略奪
ガルダ王は自らの神通力によって都に目もくらむような砂嵐を巻き起こし、スッソンディを腕に抱き上げて、本来の有翼の姿に変じた。彼は彼女を海の彼方、セルマにある隠れた宮殿へと運び去り、タンバ王は王妃が忽然と消えたことを知るのみであった。
全ての海を捜すために遣わされた楽師
深い悲しみに沈んだタンバ王は、宮廷楽師サッガを召し、行方の知れぬ王妃を求めて全ての国と島を捜すよう命じた。サッガは商船に乗って出立したが、嵐が船を砕いたため、彼は割れた木片にしがみついた。波は彼を、まさにスッソンディが囚われている島の岸辺へと運んだ。
ガルダ王の知らなかった再会
浜辺でかつての楽師を見分けたスッソンディは、彼を自らの居室にかくまい、情人とした。ガルダ王が食物を求めて留守にするたびに、彼女は王を裏切った。数週間後、通りかかった別の船がサッガを救い、無事にベナレスへ送り届けた。サッガは再び静かに、宮廷での元の地位に戻った。
見かけ以上のことを語った歌
次にガルダ王がいつもの変装で双六を楽しみに訪れたとき、サッガは琵琶を取り上げ、五つの詩を歌った。それは難破した男の物語という装いのもとで、セルマの香り高い林と、そこで彼を看病してくれた王妃のことを語るものであった。音楽を通じて彼は、直接に非難すれば無事では済まなかったであろうことを、はっきりと示した。すなわち、スッソンディがガルダ王を裏切っていたのである。
自らの喪失からガルダ王が得た教訓
歌が明らかにしたことに衝撃を受けたガルダ王は、自分が彼女を守れなかったことを悟った。そして、いかなる海も城塞も神の監視も、捕らわれた者の心が彷徨うことを防ぐことはできないのだと理解した。誰のものでもなく、ただ自分自身にのみ属する者にしがみつくことは、それが自分に課した代償に見合うものでは決してなかったと、彼は省みた。
怒りではなく恥をもってなされた返還
奪い去るきっかけとなった情欲から癒されたガルダ王は、セルマへ飛び、スッソンディを自ら連れてベナレスに戻し、タンバ王のもとに返した。そして二度と人間の世界へ戻ることはなかった。
釈尊による前世の照合
物語の結びにおいて、釈尊は、そのガルダ王は当時の菩薩(仏陀となるべき者)である自分自身であり、タンバ王はアーナンダであると明かされた。かつて一人の王に、奪われた王妃を求めて全ての海を捜させたまさにその深い悲しみこそ、アーナンダが今なお心の事柄において抱いている感情の深さと同じものであった、と示されたのである。ガルダ王の執着は、彼が得られると思っていたものよりも多くのものを、すでに彼から奪っていた。
一羽のガルダの恥を超えて残る教え
ガルダ王を最終的に打ちのめしたのは、サッガの捜索そのものではなく、誰かを直接責めることなく彼の歌が明らかにした、ただ単純な真実であった。他者の人生から力ずくで奪い取られた欲望は、奪う者が思うようには留まらないことが多い。意志に反して運び去られた心は、嵐があろうと城塞があろうと、本当に選んだものへと自ら戻る道を見出そうとするものである。
歌が直接の非難では果たせなかったことを成し遂げた理由
もしサッガが賭け事の卓で公然とガルダ王に対峙していたなら、その強大な存在は、まさに最初にスッソンディを連れ去ったときと同じように激しく反応したかもしれない。神通力に守られた傷ついた誇りは、人々の前で声に出された率直な非難にはめったに屈しないものである。真実を香り高い林と静かな慰めについての詩句の中に織り込むことで、楽師はガルダ王が自らの条件で、自らの時にその悟りに至ることを許した。王は、歌がすでに明白にしたことを認めるよう追い詰められることはなかった。真実を告げられることと、それを自ら悟ることを許されることとの違い、まさにその違いこそが、恥により穏やかな働きをさせ、直接の対決だけでは決して成し遂げられなかったことを可能にしたのである。嵐を呼ぶ力を持つ者に、勝てたはずの戦いよりも悔悟を選ばせたのであった。
ご存知でしたか?
『スッソンディ本生』は、不義の情欲、独占欲、そして不実な欲望を見張ることの不可能性というテーマを探究する。
ガルダ(スパンナ)は天界の力を象徴するが、移ろいやすく欺瞞に満ちた執着を悟ることによって、その力は謙虚さへと導かれる。
楽師サッガは真実を引き出す触媒の役割を果たし、争いを武器ではなく詩と音楽によって解決する。
セルマの島は、人の手の届かぬ異国の聖域を表すが、それでも真実を締め出すことはできない。
この物語は、五つの哲理の詩句をもって、パンチャニパータ(五集)の第一品(マニクンダラ品、第351〜360話)を締めくくる。
